限界利益

限界利益を習ってからかれこれ20年。期初にあたり振り返っておさらい。

限界利益とは単位あたりで得られる利益。単位あたりの売上から変動費を差し引いた額である。売上数量に比例して増加する。企業経営状態を会計の側面から客観的に判断する指標として重宝される。(管理会計)

企業の存続には固定費が不可欠である。実際、企業活動の会計集約はほぼ固定費に集まる。この固定費用を賄うために限界利益がある。

そういう仕組みだから、利益追求の理想は、企業存続に必要な費用(固定費)をいかに効率よく回収(限界利益×売上数量)するかというところに尽きる。これが損益分岐点として示される。

理論では簡単に説明できる。固定費が下がる活動に注力する。限界利益率を高める活動に注力する。その両方を実施することである。

具体的にどの様な施策があるのか?材料コストが低く、価値の高い製品、事業を売上につなげる。限界利益率の下がりにくい市場に参入する。人件費を最適化する。設備投資を最適化する。材料費、加工費を最適化する。研究開発費を最適化する。変動費となりうる作業を固定費で行わない。たぶんもっと他にもあると思う。それらを考える体制、風土を作る事も施策だ。

よく聞く改善施策で「自動化」というのがある。実はこれが限界利益率をあげる事もなく、固定費が下がることもあまり期待できない。人件費の削減にはつながる可能性があるが、短期的には設備投資額が増加する。また、メンテナンス費用を考慮すると、逆転して固定費の増加につながることあるだろう。自動化のメリットはリードタイムの短縮による在庫の削減、ジャスト・イン・タイムの実現だろう。

改めて限界利益について考えてみると、様々な企業活動が集約されていることを再認識。しかし、限界利益とは結果であり、企業状態を示せても、その企業そのものを現すわけではない。限界利益を生み出すのは、人のアイデアやアクションである。やはり、企業を形作っているのは人であると言えるだろう。

企業効率化を目指すのであれば、やはり人を育てるということを視野に入れた経営が不可欠だろう。

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